※新技術コールドポリペクトミー(焼かないでポリープを切除する)とクリーンコロン(腸内のポリープを全て取り除く)について
約一年前より臨床の場でも導入されるようになったコールドポリペクトミーという技術は、最近では新聞などのメディアに取り上げられる程患者様にも身近なものとなりました。
当院でも昨年から取り入れております。ポリープを治療する上で術者が最も気を付けなければならない合併症は、切除後の後出血です。従来の焼切る方法は、どうしても後出血の確率を上げてしまいます。このコールドポリペクトミーという方法は、従来の方法に比べ後出血の確率が限りなくゼロに近いという結果が本学会でも発表されておりました。また、切除を行うまでの工程が少ない事で短時間でポリープ切除可能となり、腸内のポリープを1回の検査中に全て切除することを容易にしました。この、大腸内のポリープを全て取りきるということをクリーンコロンと呼びますが、このクリーンコロンは大きくその後の再発、発がん率を下げるという結果が出ております。有用な技術であることは言うまでもないですが、欠点があることも論じられております。従来の方法に比べ、よりマージンを取って切除することが難しく、腫瘤の一部を取り切れない事がありこの点は非常に問題視されております。そこで今回の学会でも、コールドポリペクトミーを施行する基準について激しく議論されておりました。基本的には10ミリ以下のポリープで、良性腫と内視鏡所見で検査医が診断したもののみ施行するべきとの考えが多くみられました。私自身も、上記と同じ認識を持っており癌が疑われるポリープには絶対にコールドポリペクトミーを施行しませんし、大きさのボーダーラインとして7ミリ以下としております。この新技術は、大変画期的ではありますが、発展途上中の技術でもあります。エビデンスに基づいたガイドライン制定が必要であり、術者は治療を選択する際に慎重でなければならないと感じております。