先日、第37回 神奈川消化器内視鏡技師研究会に参加してきました。その中で、いくつか興味関心を持った研究発表がありましたのでご紹介いたします。
~大腸内視鏡挿入困難症例に対しての用手圧迫法の工夫について~
内視鏡挿入時の用手圧迫とは、内視鏡が進みにくい場合に、内視鏡がたわむ部位や先端部分を体外的に腹壁から押さえて内視鏡を進めやすくする介助法です。
屈曲の強い腸管の過伸展や癒着を伴う場合、また短縮が難しい場合などの挿入困難例に対しての用手圧迫はとても難しく、モニター画面をみて確認しながら行っていてもうまく用手圧迫が出来ず、内視鏡がスムーズに進まず苦痛を伴ってしまうことがあります。看護師は効果的な用手圧迫を行うためにも大腸の解剖と、内視鏡の挿入位置や形状をイメージし、圧迫する部位や手の置き方、力加減などポイントになる点を理解していく必要があると感じます。また、日々の経験の積み重ねと、施行者である医師とのコミュニケーションが大切になると感じます。
発表の中であった婦人科手術の癒着症例や胃癌などの上腹部手術症例、肥満型の体型症例に対しての用手圧迫法の工夫は、とても貴重な学びとなり今後の検査介助に活かしたいと思いました。その内容を少し紹介させて頂きます。婦人科手術の癒着症例では恥骨の上を指先で背中側に押し、上腹部手術症例では創部を指先で背中側に押すことで効果が得られるそうです。また、肥満型の横行結腸では両手の平で臍上腹部を背中側に抑え込むか、効果がなければ上腹部を上下から挟み込むことで有効な用手圧迫を行うことが出来るそうです。
効果的な用手圧迫は、内視鏡の挿入を助け時間短縮にも繋がり、さらに患者さんの苦痛を緩和させるため、介助に入る看護師は技術の習得が出来るよう日々努力していく必要があると感じました。
~内視鏡介助者の新人教育の技術・知識向上の工夫~
こちらの表題に関する沢山の研究発表があり、内視鏡検査説明をマニュアル化している所、技術チェックリストを活用し実施・評価している所など、参考になる点がいくつかありました。
当院でも内視鏡介助未経験の看護師に対し、マニュアルに基づいた指導及び、注意事項の口頭指導、一人ひとりの技術の習得状況に合わせた段階的な指導を日々行っております。また、検査前の事前説明に関しては受付を含め全スタッフが説明出来るように繰り返し指導を行っております。
患者さんが安心して安全・安楽に検査を受けられるように、スタッフ全員で連携をとり介助していく必要があると感じます。そのためには、安全で安心できる環境づくりや専門的な知識・技術の習得が必要になると思います。限られた業務時間内での指導の難しさもありますが、内視鏡介助に携わる看護師全員が専門知識や技術の向上につながるよう日々自己研鑽し、努力していく必要があると感じました。
今回の研究会で得た学びを、今後に活かしていきたいと思います。
湘南藤沢おぬき消化器クリニック
主任看護師 森山 優子